オープニング「ヤムロット誕生」
「天津飯はダウン…デンデは戦士じゃねえ…。サ、サタンかあーーー!?」
「優しい私は5秒だけ時間をやろう。どっちと合体するか決めるんだな」
「1000の力が1001になったって勝てやしねえ…!やっぱデンデとじゃ無理だろーなー…。
よりによってサタンしかいねえとは…仕方ねえ!受け取れ、サタンーーー!!」
「終わったな…ニヤリ」
ピクン
「こ…この気は…まさかヤムチャ!?」
「こんな離れた所でスマンな。わしも魔人ブウは怖いんでのう」
「気にしないで下さい、ババ様。ほんの少し時間が延びるだけです。再び魔人ブウに殺される時が…」
シュンッ
「ようヤムチャ!」
「悟空!?」
「今ブウがこっちに向かって来ている!ヤムチャ何も言わずにこれを左耳につけてくれ!」
「何故だ…?」
「これを使えばオラたちが合体してものすごい戦士になれるんだ!」
「…断る」
「え…?ブウに勝つにはこれしかないんだぞ。ふざけてる場合じゃ…」
「気にいらんのだ…」
「え?」
「悟空…お前はいつもおいしいとこを持っていくんだ…。天下一武道会の時も、サイヤ人の時も、フリーザやセルの時も。
ところが俺はどうだ?天下一武道会で笑い者にされ、サイヤ人と戦う前にサイバイマンと心中して、
生き返ったかと思えば女を寝とられ、セルのジュニアの方にボコられ、ブウにお菓子にされ・・・。
そういえば胸を貫かれて悶絶したこともあったな。全くカッコ悪いったらありゃしねえ!
俺はあの世で見てたんだぜ…なにが『これはヤムチャのうらみだ!』だ。いちいち勘に触るヤローだぜ!」
「ヤムチャ……。じゃあ、これは知ってるか!?オラはおめえを心強い仲間として認めてるんだぞ!」
「何!?…うそをつくな!俺みたいなヘタレを心強い仲間などと」
「うそじゃねえ!オラ達が初めて出会った日を覚えてるか?オラはあの日、おめえに実質負けたんだぞ?
じっちゃん以外でオラが負けた相手は、おめえが初めてだったんだ!
そんなおめえをオラは永遠のライバルだと思ってる!」
「何!?」
「それに、ヤムチャが助けてくれなければオラ達みんな兎人参家に人参にされてた!
そしたらピッコロ大魔王やサイヤ人から地球を守ることもできなかった!
つまりおめえは地球を救った英雄も同然なんだ!」
「な…!?」
「そーいや人造人間が手の平でパワーを吸い取ることを教えてくれたのも
ヤムチャ…おめえだったな。考えてみりゃいつもヤムチャには助けられっぱなしだ」
「……」
「とにかくおめえはスゲエやつなんだ。だからブウも、オラとおめえが合体するのを恐れている。
ブウが今猛スピードでこっちに向かってるのはその為だ!」
「そ、そうだったのか…!」
「あ、や、やばい!もうすぐ魔人ブウが来る!!頼むよヤムチャ!」
「ちぃっ、はやくそいつをよこせ悟空!」
「ヤムチャ、オラと合体してくれるのか!?」
「確か左の乳首につけるんだったな?」
「違う、耳だ!そうそう、言い忘れたけど合体したら二度と元には戻れねえから」
「何!?クソッこんなギリギリで言いやがって!これでいいんだろ!?」
「サンキュー、ヤムチャ!」
ピカーン!
「よっしゃーー!!」
シーン1「ヤムロットVS魔人ブウ」
二人の合体の直後、魔人ブウが到着した。
「ち、間に合わなかったか。だが所詮はザコだ、合体したところで力関係に変わりはない!」
「カカロットとヤムチャが合体してヤムロットってとこかな。さらに…」そう言うと、
ヤムロットは超サイヤ人になった。「こいつが超ヤムロット」「それが…どうしたーー!!」
ブウが攻撃を仕掛けたが、その瞬間ヤムロットはどこかへ消えてしまった。
「瞬間移動か?こしゃくなマネをしやがって…!」
一方、ヤムロットは界王神界へ来ていた。「い、いったいどうするつもりじゃ?」と老界王神が問う。
「合体したとはいえまともにやっては分が悪そうだ。だからこの技を使う」
そう言うとヤムロットは気を手の平に集中し、そして玉を作った。「な…なんじゃそれは?」
「操気弾だ。ここから当ててやる。ここなら自分も安全だしな。とうっ!」
操気弾は宇宙を越え地球のブウの元へ一直線に向かっていった。「当たれえっ!」
しかし、当たる寸前のとこでブウに気づかれた!「な、何だこれは!?あぶないっ」
顔面スレスレ間一髪でかわされた操気弾はブウの頭のシッポをちぎり、彼方へ飛んで行った。
「あぶなかった…アイツの仕業か?どこにいる!?」「安心するのはまだ早いっ!」
ヤムロットが指を動かすと操気弾が再びブウを襲った。
「何ィ!?ウワアアアアアア」ドーン!背後をつかれたブウは避けれず下半身に被弾した。
「はあっはあっざまあみろ!足元がお留守だぜ!」
シーン2「ヤムロット敗れる!?地球崩壊」
「ブウは今ので大ダメージを受けたはず。今から直接トドメを刺しに行ってやるぜ!」
急に威勢の良くなったヤムロットはブウの前へ瞬間移動した。
「貴様…!よく現れやがったな。今度は逃がさんぞ、殺してやる!」
「死ぬのはお前だ」「…ちぎれたシッポ何故元に戻さなかったと思う?」「何?」突然、ブウのシッポの残骸が
巨大化してヤムロットを囲んだ。悟飯が吸収された時と同じ構図である。
「ウソだろ?これドッキリだろ?」ヤムロットは青ざめた。そしてブウへ吸い込まれてゆく。
老界王神は水晶玉でその様子を見ていた。「バカモノめ…自分の力に溺れるからこうなるんじゃ…」
魔人ブウの変化が始まった。さらに気が膨れ上がってゆく。
悟天、トランクス、ピッコロ、悟飯、そしてヤムロットを吸収した最強の魔人がここに誕生した!
「フフフ…体中からさらに力があふれ出してくる!これで私は最強だ。記念に消してやろう、こんな星」
地球に向けてエネルギー波を撃とうとするブウ。
「まずい、地球にはまだ生存者が!」
そう言うとキビト界王神は瞬間移動を使い、地球の生存者を界王神界へ避難させた。
その直後、地球は跡形もなく消え去ってしまった。
「間一髪でした…。悟空さんまで吸収されてしまうなんて、いったいどうすれば…」
「ん?ということは、ブウは悟空の瞬間移動も使えるようになったはずじゃ!こりゃまずいぞ!」
老界王神が叫んだ瞬間、ブウが瞬間移動して来た。
「うっとうしいヤツラだ。一人残らず消してやるぞ」
シーン3「ヤムチャの奇跡」
「この神聖な界王神界に魔人ブウが…!な…なんということじゃ」
絶望感ただよう老界王神をよそに、ブウは周りを物色した。
「さあ、どいつから殺してやろうかな」戦士達に緊張が走る!
ブウに対するは老界王神、界王神キビト、そしてさっき救助されたデンデ、サタン、天津飯、餃子だ。
「天さん、ボクの超能力が効かない!」餃子が叫ぶ。
天津飯は聞こえないフリをして、じっとブウを見据えた。
(ブウにも必ず弱点があるはずだ。ん…あれは?)何かに気づいた天津飯が笑みをうかべた。
「貴様何を笑っている?不愉快なヤツめ、最初に殺されたいのか?」
「ククク、魔人ブウ!俺の三つ目はごまかせんぞ。貴様の弱点はここだ!」
そういうと、天津飯はブウの足を蹴りあげた。「ぐわっ!!」
「足元がお留守だぜ…ヤムチャを吸収したのは失敗だったな」
「そうか!みんな、足元を狙え!」「く、くそおっ!!」
天津飯たちはもてる力を結集し、全員で足元への集中攻撃を行った。魔人ブウにとって思わぬ誤算であった。
足元がお留守になるばかりか、相手の攻撃の瞬間に目をつぶってしまうのである。
「くそおっ!くそおっ!!こんなザコどもに苦戦してしまうとは…。こいつを吸収したせいだ!」
そう言うと、ブウはヤムロット…いや、ブウの体内で合体が解けて分裂した悟空とヤムチャを吐き出した。
それに伴い、ブウの体も元に戻ってゆく!「オレを怒らせたな貴様ら!皆殺しだ!!」
シーン4「ヤムチャ復活!」
「悟空さん、大丈夫ですか?」
デンデが悟空を治療する。死にかけから復活し、悟空の気は大幅に上昇していた。
「これならブウに勝てるかもしれねえ」
デンデは神という立場上、ヤムチャも治療した。
「ありがとうデンデ。なんだか力が湧いてくるようだ。ブウに勝てるかも、なーんてな」
そうおどけてみせるヤムチャ。デンデは無表情だった。
この治療の間に、天津飯と餃子がブウに殺されていた。
「すまねえ…必ずオラがカタキを取るからな」悟空が静かに怒っている。
「おぬしらもう合体はせんのか?」
「もうヤムロットは必要ないぜ!」ヤムチャは悟空一人にまかせる気マンマンで言った。
「ああ、ヤムロットはもういらねえ。合体して戦うなんてやっぱりオラたちの性にあわねえよなヤムチャ!」
「そうか、じゃあわしらは邪魔にならんように退散する!
この界王神界はめったなことでは壊れはせん!思いっきり戦うがいい!」
こうして界王神界には悟空とヤムチャと魔人ブウだけが残った。
あれ、何かオレも戦うみたいな雰囲気になってない・・・?ヤムチャは青ざめた。
シーン5「悟空とヤムチャ」
「どっちからやる?」「ジャンケンで決めようぜ」「ジャンケン、ポイ!」
ヤムチャは後出ししてわざと負けた。
「やったー!オラからだ。でもおめえ、わざと負け…」
「俺も男だ、ジャンケンで負けたからにはお前に譲る。さああの野郎をブチのめせ!」
悟空とブウの壮絶な戦いが始まった。勝負はほとんど互角であった。
「悟空…お前はたいしたヤツだ。凡人であるお前がいつもこうやって活躍し、
なぜ天才であるはずのおれはいつも率先して倒されるのかわからなかった…。
みんなが俺のカッコイイ顔に嫉妬して、仕組んでいるのかと思っていた…。
だがそれは違った。俺はカッコつけ、女にモテるために戦うが、
お前は戦いを楽しんだり、地球を守るために戦ってるんだ。
だからお前はボロボロになるまで戦って服が台無しになることにもこだわりはしない…。
がんばれ悟空、お前がナンバーワンだ」
そのころ、悟空はなかなか体力の減らないブウに対して苦戦していた。
「すまねえヤムチャ、交代すんのはもうちょい待ってくれ」
「フン…どうせ交代する気などないくせに。お前はわかっているんだ…。
この俺じゃたちまちブウに殺されてしまうとな。俺のことは気にせずさっさと倒してしまえ!」
「そうしてえんだけどさー、あいつを倒すには一分くらい気を練らないと無理みてえだ」
「え?お、俺に遠慮してたんじゃないのか…。わかった、俺が一分稼いでやる。その間に気を溜めろ!」
「え?い、一分かかるんだぞ!?」
「だったら早くしろ!」そういうとヤムチャはブウの方へ突っ込んでいった。
「いくぞ魔人ブウーーーーーーーーー!!!!!」
シーン6「ヤムチャVS魔人ブウ」
「俺が相手をしてやるぜ、魔人ブウ」「フン、ザコがわざわざ殺されに来たか?」
とうとうアレを披露する時が来たか、とヤムチャは思った。「見ろ魔人ブウ!俺の華麗な技を!」
そう言うとヤムチャはポケットから一枚のコインを取り出した。「…な、何だ?」
「ここに一枚のコインがある。見ての通りの普通のコインだ!」「何をする気だ!?」
ヤムチャは不敵な笑みを浮かべると、コインを軽く上にはじいた。
そして奇妙な動きでそれをキャッチすると、ブウの前に両手の拳を差し出した。
「ブウ!コインがどっちの手の中に入ってるかわかるかーーー!?
ははは無理だろうなーー!ブウ、貴様の目はふしあなだーーーーーー!!」「何だと!?」
老界王神たちが水晶玉でその様子を見ていた。
「あやつ、魔人ブウを挑発しておる…!手品を受けさせるためにわざと…」
「すげえぞヤムチャ、これならホントに一分ぐれえ稼げるかもしれねえ!」
「こしゃくなマネを…。だがこの魔人ブウの目はふしあなではない!
ちゃんと見えていたぞ。コインは左手だ!」
そう聞くとヤムチャはほくそ笑んだ。「残念だったな…」そして左手の中を見せた。
そこにはコインの姿はなかった。「バ…バカな!?」
「驚くのはまだ早いんじゃないか?」ヤムチャは右手を開いた。コインはない。「!?」
決まった、とヤムチャは思った。
(合コンのためのとっておきがまさかここで炸裂するとはな…)
人生とは皮肉なものだ、とヤムチャは感じた。
「ホラ、どこにコインがあるかわからないだろ?フッ、魔人とやらもたいしたことないな」
調子に乗って挑発するヤムチャ。
しばらくあっけにとられていた魔人ブウだが、ふと何かを思いついたようにこう言った。
「貴様のリストバンドの中を見せてみろ」ヤムチャはギクッとした。
(ま…まさかバレたか!?こ…こんなことならもっと練習しておけばよかった!)
「早く見せてみろ!」魔人ブウがイライラしてうる。
「くっ…!ご、悟空まだかーーー!!とっくに一分は過ぎてるぞーーーー!!!」
「す、すまねえ…せっかく溜めた気がまた減りはじめてるんだ…!!
こんなハズじゃねえのに…!」
「何だって!?」ヤムチャは泣きそうになった。
シーン7「スーパーヤムチャ」
ブウはヤムチャの腕を掴んで、リストバンドを引きちぎった。コインが落ちる。
「やはりな…こんなことだろうと思った。茶番はここまでだ」「あ…あう…!」
「喰らえっ!」ドーン!ヤムチャは強烈なパンチを浴びて遠くへ吹っ飛んだ。
「簡単には殺さんぞ…ジックリいたぶって殺してやろう」
「やばい、ヤムチャがやられる!ブウーーーー!!オラが相手だ!」
悟空がブウにとびかかるが、気が減っていたためあっさりやられてしまう。
「く、くそおっ…」悟空はもう瀕死だった。
一方、遠くまで吹き飛ばされたヤムチャは重症を負っていた。
「俺、死ぬのかなあ?」不思議と死への恐怖はなかった。
「強すぎだぜ…魔人ブウ…俺なんか次元が違いすぎる…勝てっこないぜ。
でも俺は…ピッコロ大魔王もサイヤ人もフリーザもセルも結局戦えないままだった…。
悟空たちが倒すのを見守るしかできなかった…。だが今回は…違う!
悟空だってピンチなんだ…俺がやらなきゃいけないんだ!ここでやらなきゃ男じゃない!」
そう言うと、ヤムチャは傷ついた体をものともせず立ち上がった。
一方、悟空はテレパシーで界王様に連絡をとっていた。
ドラゴンボールで地球を復活させ、元気玉を集めるためである。
「…ってわけだ。た、頼んだぜ、界王様!」
「貴様、誰と会話している?まだ何か企んでいるな?死ね!」
「や、やばい、やられる!くそーー!!」ドーン!その瞬間ブウの背中で爆発が起こった。
ヤムチャの操気弾である。「き、貴様ーーー!!」「ヤムチャ、無事だったのか!?」
「俺は…スーパーヤムチャだ!」
シーン8「スーパーヤムチャ発進!」
「スーパーヤムチャ?な…なんだそれは?」
「え?いや、なんだって言われても…そ、そんなもんてめえで考えやがれ!」
「フン…まずは目障りな貴様から殺すことにしよう」ブウがヤムチャに歩み寄る。
このままではヤムチャが殺されてしまう。悟空は力を振り絞り、立ち上がった。
「おい、こっちを見ろ!魔人ブウ!」「何?」ブウが悟空に振り向いた。
「太陽拳!」辺りに閃光が走る!「しまった、目がー!!」
「今だ、ヤムチャぶちかませー!」「ごめん、無理!俺も目がくらんだ!」
こいつ使えねえ…と悟空は思った。その時、悟空はヤムチャの天使の輪が消えている事に気づいた。
そう、新ナメック星のドラゴンボールでまず地球がブウに破壊される前によみがえり、
次に天下一武道会があった日から後に死んだ極悪人を除く全ての人が生き返ったのである。
「サンキュー!」ヤムチャは極悪人にカウントされてなくて、ほっとした。
そろそろブウの視力がもどりつつある。ヤムチャはもうちょっとかかりそうだ。
「ヤムチャ、オラはこれから元気玉をあつめる!その間ブウをくい止めてくれ!」
「ああ、まかせろ悟空!」目をゴシゴシしながらヤムチャは答えた。
「元気玉だと?何だそれは、何をたくらんでいるんだ?」ブウがヤムチャに尋ねた。
その次の瞬間、何故かヤムチャはフラフラになり地面にうずくまった。
さっきの太陽拳の眩しい光を目に受けた衝撃で、一時的なめまいに陥ったのだ。
さらに、波打ってくる激しい吐き気。「お…おえっぷ」
ヤムチャは今朝摂取したプロテイン剤をすべて吐き出してしまった。
その光景を見ていたブウは唖然としていたが、ふと我に戻った。
そして今さっき見たものを記憶から抹消して、悟空へ振り返った。
「な、何だあれは!?」両手をかかげた悟空の上空に巨大な光球がある。
元気玉である。しかしまだブウを倒すには明らかに力不足であった。
「フン、今のうちに殺してやる!」「待て、魔人ブウ!」「ん?」
「お前の相手は俺だろうが!!……うぇっぷ」涙目のヤムチャが立ちふさがった。
シーン9「スーパーヤムチャ満身創痍」
「さっきからうっとうしいヤツだ。一撃で殺してやる」魔人ブウが言った。
この時、ヤムチャは凄まじいほど集中していた。
太陽拳により多少ペースを狂わされはしたものの、これほどまでの集中力は彼の人生で類を見ない。
おそらく、自分が世界を救わなければという使命感がそうさせたのだろう。
ブウの筋肉がわずかにピクリと動いた。攻撃が来る、とヤムチャは悟った。
次の瞬間、ブウが突撃してきた。「死ねえぃっ!」ヤムチャが相手ということで油断しているブウ。
この攻撃を先に予測できたヤムチャは間一髪のところでブウをかわし、
さらにその攻撃の時に生じたスキを見逃さなかった。
「背中がガラ開きだぜ!新狼牙風々拳、あたたたたたたぁぁぁーーーーーー!!!」
「何っ!?ぐわっ」ブウがひざをついた。「ば…バカな…!!」
「やるじゃねえか…見直したぜヤムチャ!」
全然ダメージはなかったものの、ブウはヤムチャらしからぬ目覚しい動きに驚きを隠せない。
一方、そのヤムチャは深刻そうな顔をして指を押さえていた。
「どうしたヤムチャ?その調子でやっちまえ!!」
「……突き指した」
どうやら指と一緒に集中力も折れてしまったようだ。
「雑魚だと思ってなめすぎた…。今度は手加減せんぞ!」
そう言ってブウは超特大のエネルギー弾を撃った。
(あ、今度こそ死んだな…でも俺はよく頑張ったよ、うん)ヤムチャは覚悟を決めた。
しかし、エネルギー弾は大きくはずれた場所へ飛んで行っていた。
はずした?あのブウが?そんなバカな。「いったいどうしたってんだ…?」
「あ…あうあ…」ブウの様子がおかしい。頭を抱えてうずくまっている。
「そうか…やっぱ新狼牙風々拳が効いてるんだな!」
そう解釈したヤムチャは、がぜん強気になりだした。
「オラオラ見たかヤムチャ様の力をー!!ボケがあっ!!」そう言ってケリまくる。
相変わらずブウは苦しそうにうずくまっている。
「いったいどうしたんってんだブウのやつ。まさかホントにヤムチャの技のダメージで…?」
「痛えっ!!」ヤムチャがピョンピョンはねだした。
どうやら足をくじいたらしい。
シーン10「スーパーヤムチャ絶叫」
「さあ、今のうちに元気玉でやっちまえ悟空ーー!!」
俺の体はもう限界だ、後はがんばれ悟空!!ヤムチャはそう思った。
「そうしてえけど、まだブウを倒すには多分足りねえぞ」「何だってー!?」
ブウを倒すには地球のみんなから少しずつ元気を分けてもらっても足りない、
ギリギリまで元気を集めさせてもらうんだ!そう思い界王を通じて地球人に協力を申し出た悟空だったが
なかなか地球のみんなが悟空を信用して手を上げてくれないため元気が思うように集まらなかったのだ。
「なんで信じねえんだ!ここでブウを倒さねえと何もかもが終わっちまうんだぞバッキャロー!」
いらついた悟空は叫んだが、逆にみんなの反感をかってしまった。
「バッキャローだと?人に頼むのに偉そうだぞ!」「誰が手なんかあげるかバーカ」
ヤムチャはそのやりとりを聞いていると、だんだん腹がたってきた。
俺がこんな突き指までしで戦ってるというのに地球のアホどもは…!
ヤムチャの怒りは頂点に達した。「なんだとコラァァーーーーーーーーーー!!!!」
いきなり絶叫するヤムチャ。悟空はビックリして心臓が止まりかけた。
「てめーらの乳首は何色だあーー!?さっさと手を上げろっつってんだよ!!クソがぁ!!!」
ヤムチャの言葉は、当然ながらものすごい反感をかってしまった。
「もう絶対手上げねえ!」「死ねターコ!ボケ!カス!」「ピンクだ!」
地球からわずかながら来ていた元気の供給がピタッと止まった。
「ヤムチャ…いったいどうしてくれるんだ?」
「あ…いや…それはその…ゴフッ!ゲホホッ!!」
急に大声で叫んだせいで、ヤムチャは喉を痛めてしまった。
シーン11「スーパーヤムチャ大誤算」
「お、おい。ブウのやつ見ろよ。また様子が変わったぜ」
さっきまで苦しそうにうずくまっていたブウが立ち上がっていた。
そして急に何かを吐き出した。吸収された戦士たちである。
悟飯、ピッコロ、悟天、トランクス…そして最初のデブブウまでもが吐き出された。
どうやら吐き出されたみんなは気絶しているようである。
「そうか…ブウの中に悟飯たちがいたせいでヤムチャを殺せなかったのか」
ブウの体が変化してゆく。変化しきったブウは小さく、そして理性を失っていた。
「ウッホーーーーーーー!!!」ブウはいきなり叫びだした。
「ばかめ、あんまり叫ぶと俺みたいに喉を痛めるぜ。それにしてもずいぶん小さくなったな。
これなら俺一人でも勝てちゃうかなー」
「ヤムチャ、まだ元気玉は完成してねえ。地球人の説得はオラがなんとかすっから時間を稼いでくれ!」
「悟空、せっかくだが元気玉の出番はないぜ!」そういうとヤムチャはブウの正面にまわりこんだ。
さあ、どうやって料理してやろうか。新狼牙風々拳で刺身にするか。
そんな事を考えていると、ある重要な事に気づいた。「突き指してて狼牙風々拳ができねえ…」
そればかりではなかった。足も軽く捻挫ぎみである。吐いたせいで胃液が荒れ、
胸焼けが起こっていた。喉も痛んでいる。「し…しまった…!やられる!」
「ウホッ!」ブウは腕を軽く回すと、ヤムチャの腹にパンチをいれた。
「ぎぇ…!!」ヤムチャは悶絶しかけたが、なんとか失禁だけでこらえた。
その後も続くブウの攻撃。ヤムチャはサンドバッグ状態になってしまった。
ブウはヤムチャを簡単には殺さず、いたぶって楽しんでいる。
畜生、怪我さえしてなけりゃ勝てるのに…とヤムチャは薄れそうな意識のなかで思っていた…。
シーン12「サンドバッグだ!スーパーヤムチャ」
「まだか悟空!?こ、殺される!!」ヤムチャが半ベソをかきながら叫んだ。
「くそー全然元気が集まんねえ!いったいどうすれば…」
その時、ポルンガがデンデに言った。「3つ目の願いはまだか?」
「あ…そうだ、今界王神界で起こってる事を地球の人たちに見せてあげることってできる?」
「見せるだけなら可能だ」「じゃ、お願いします!」
次の瞬間、ポルンガの力によって、ブウとヤムチャの戦いが地球人の脳に直接映し出された。
「悟空さん、ドラゴンボールで地球人にそっちの戦いを見せています!これなら信じてくれるかも」
「そうか、サンキューデンデ!サンキュードラゴンボール!」
何!?今俺がブウにボコられてる映像が地球のみんなに見られてるのか?
ヤムチャは焦った。こんなぶざまな姿を見られてはひどい晒し者だ。
ちょっとは活躍しないと。しかしどうやって…?ヤムチャはボコられながら必死に考えた。
あ、そうだ、この手があった!「くらえ魔人ブウ、太陽拳ーーーー!!」…しかしMPが足りない!
「あ、あれ?おかしいな…」「ウホッ!」ボコッ「ぎゃあー!!」
一方、地球人たちはこの戦いを見せられとまどっていた。
「地球のみんな!姿は多少変わったけどそいつは魔人ブウだ!
見てわかるように、今ある男が地球を守るために戦っているが、状況はかなり悪い!
ブウを倒すにはみんなの力が必要なんだ!頼む、手を上げてくれ!」
さっきまでどんなに悟空が説得しても信じなかった地球人たちだったが、
この映像を見たことによって少し考えが変わりだした。
「これ…嘘にしちゃできすぎだよなあ…」「さっき言ってた事は本当なのか…?」
この時ヤムチャは深刻な事を考えていた。
濡れた股間をみんなに見られたらやばい!!ヤムチャは必死で股間を手で隠した。
チクショウ、おもらしなんて中学校以来だぜ…。いや、ブウの攻撃がこのままずっと続けば
もっと危険なモノが出ないとも限らない。ヤムチャは気を引き締めた。
シーン13「スーパーヤムチャ猛脱出」
「貴様らいいかげんにしろー!このサタン様の頼みも聞けんとゆーのかー!!」
突然、さっきまで岩陰に隠れていたサタンが出てきて叫んだ。
どうやら、界王神たちに忘れられていたらしい。
「えっ?ミスター・サタンがブウと戦うんですか…?」
「そうだ!私がブウを倒してやるからお前らも力をかせ!」
悟空はあっけにとられていた…。ヤムチャは股間を隠すので必死だった。
「まあこうでも言わんと仕方ないじゃないか。今はブウを倒すのが先決だからな…。」
「サーターン!!サーターン!!サーターン!!」
「すげえ、元気がムチャクチャ集まって来たぞ!これならブウを倒せる!」
魔人ブウが元気玉に気づいた。すさまじいエネルギーに驚きとまどっている。
「ヤムチャ!頑張ってそこから離れてく…」
「言われなくてもやってるぜ!!」
ヤムチャは光速を超えるかのような猛スピードで逃げ出していた。
「やべえ、この位置から撃ったら悟飯たちにもあたるかもしれねえ…!」
「かまうな、やっちまえ悟空ーーー!!」何もわかってないヤムチャはそう叫ぶ。
その時、サタンが悟飯たちをかついで逃げていった。
「お、重い…!さあ、そのでっかい玉をぶちかませー!」
「やるじゃねえかサタン!おめえはほんとに世界の救世主かもな!」
おいおい救世主は俺じゃねーのかよ!ヤムチャは憤った。
そして悟空の元気玉がブウに放たれた!!
シーン14「元気玉のゆくえ」
「当たれえーーー!!」悟空は叫んだ。
勝った!その場にいた誰もがそう思った。しかし…
ヒョイッ
なんと魔人ブウは元気玉をかわしてしまったのだ。
「何ィーーーー!?」
そして元気玉はあろう事か、ブウの後方にいたサタンの方に向かっていった。
「サタン、はねかえせ!悪人じゃねえやつならはねかえせるはずだ!」
「そんなこと言われても…こ、怖いっ!!」
サタンはとっさにかかえていたピッコロを盾にした。
「ぐべらっ!!」ピッコロは顔がもげたがなんとかはねかえすことができた。
「…ってどっちにはねかえしてんだアホーーーーーーッ!!!」
元気玉はヤムチャの方へ飛んでいった。
「ヤムチャ、ブウの方向へはねかえせ!!頼む!」
「絶・対・無・理!!」
ヤムチャはマトリックスのモノマネをしながらよけた。
「ヤムチャのアホーーーーーー!!」悟空はヤムチャに殺意すら覚えた。
元気玉は遠くへ飛んでいってしまった…。
「悟空、そこで指を曲げて元気玉を操るんだ!オレの操気弾のように!」
「え…?そ、そんなのオラできねえよ」
まったくこれだから素人は…ヤムチャはおおげさにため息をついた。
シーン15「決着!」
「や、やべえどうしよう!せっかくの元気玉がー!」悟空はげっそりした。
「いやまだだ!悟空、元気玉はまだ生きている!オレが元気玉を操ってやる!」
ヤムチャが股間を隠すのも忘れて叫ぶ。
「そ、そんなこと出来んのか?オラの元気玉なのに?」
「そんなことわからない!けど、やるしかないぜ!」
そう叫ぶとヤムチャは遠くへ行った元気玉と自分の指を同調させることに集中した。
(オレだって、やれば出来るんだ。それを今証明してみせる…!)
その時、奇跡が起きた。あるいは、ヤムチャの狙い通りだったのかもしれない。
先ほどまで悟空と合体していたので、ヤムチャの中にまだ悟空の気の余韻が残っていた。
悟空の作った元気玉とヤムチャの気の波長がピッタリ一致したのだ。
「よし、いけるぞ!」
突然、ピタッと元気玉の動きが止まった。
「も…もしかして成功したんか?すげえぞヤムチャ!」
ヤムチャが指をくいっと引き寄せると元気玉が高速で戻ってきた。
「ウ、ウホッ!?」驚くブウ。
「驚くのはまだ早いんじゃないか?」
ヤムチャはニヤリと笑うと、元気玉をブウの方へ飛ばした。
「これで終わりだ!行け、繰気弾っ!!」
悟空は自分の元気玉が繰気弾と呼ばれたことに内心ムッとしたが、
今はそれどころじゃないので黙って行方を見守った。が…。
ヒョイッ
「あ…あれ?」ブウは余裕で元気玉をかわした。
「ちい、無駄なわるあがきをしやがって…。えい!とりゃあっ!とうっ!」
20分後…
ドーン!ブウに元気玉が直撃した。
「やった!はあっはあっ、ざまあみやがれ!!」
「ギャアァァァァァァーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
「お前はたった一人でよく頑張ったよ…。でも、もう生まれ変わってくるなよ。
俺は絶対戦わないからな!じゃあな」
ラストシーン「やったぜ!ヤムチャ」
ブウは跡形もなく消滅した。世界に平和が訪れたのだ…。
「ふう、疲れた…」
「やったな、ヤムチャ!お疲れ!」
悟空とヤムチャがハイタッチをかわす。
そしてヤムチャは息をついてその場に倒れこんだ。
魔人ブウとの戦いに疲れてヘトヘトだったが、すごくいい気分だった。
今回はちょっと頑張ったよな。もうただのヘタレじゃない。と、ヤムチャは自分をほめてやった。
しばらくして、デンデたちが界王神界にやってきた。
「悟空さん、ヤムチャさん、お疲れ様です!すぐ治療してあげますからね!」
「サンキュー。でもまず悟飯たちから治してやってくれ」
「はい、わかりました!」そういうとデンデは悟飯を治療した。
「傷が治ってゆく…すごい、そんな事ができるのか」サタンが驚く。
「ええ、死んでさえいなければすぐ治す事ができますよ。…あっ!!」
デンデが急に声を上げた。
「ど、どうしたんだデンデ?」ヤムチャが不思議そうにたずねる。
「ピッコロさん…死んでる」
(ヤムロット伝・おしまい)
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